動画投稿の前に必要な作業のひとつに「エンコード」があります。動画投稿をしたことがない人にとってあまり聞きなじみがないワードですが、とても重要な作業です。本記事では、そもそもエンコードとは何か、なぜ必要なのかについて詳しく解説します。エンコードが動画に与える影響などもまとめて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
エンコードの概要
エンコードとは、動画ファイルの映像・音声データを圧縮し、任意のファイル形式に変換する作業を指します。動画は数多くの静止画(フレーム)で構成され、そのデータ量は非常に大きくなりやすいです。たとえば、30分間のテレビ用動画には約5万4,000フレームが含まれ、音声データも加わることでさらに容量が増大します。
このような大容量データをそのまま保存・配信すると、再生に時間がかかったり、ストレージ容量を圧迫したりします。そのため、エンコードは動画を作成・投稿するうえで必須なのです。また、再生する媒体や配信プラットフォームに合わせたファイル形式への変換も重要な理由です。
エンコードの種類
エンコードは2種類あります。ソフトウェアエンコードはPCのCPUを利用し、比較的低コストで利用可能です。しかし、処理速度や品質はCPU性能に依存します。
一方、ハードウェアエンコードはGPUや専用機器を使用し、高速かつ高画質なエンコードが可能です。しかし、初期費用が高くなる点がデメリットです。
エンコードの仕組み
エンコードの仕組みとしては次の2つの方法が一般的です。フレーム内予測では、ひとつのフレーム内で似たデータをまとめて圧縮します。
一方、フレーム間予測では連続するフレーム間の差分データを活用して効率的に圧縮します。このようにして、動画の視覚的品質を保ちながらデータサイズを削減するのです。
動画エンコードにおける圧縮
圧縮には「可逆圧縮」と「非可逆圧縮」がありますが、動画エンコードでは主に非可逆圧縮が使われます。非可逆圧縮は、人間が気づかない程度にデータを間引きすることで、画質や音質を維持しながら容量を大幅に削減できる点が特徴です。
代表的な形式として、MP4やAACが挙げられます。エンコードの適切な方法やツールを選ぶことで、効率的かつ高品質な動画制作・配信が可能になります。
エンコードがおよぼす動画への影響
エンコードでは、フレームレート、解像度、ビットレート、動画の長さといった要素を調整することで、動画ファイルの容量や品質に影響を与えることができます。
フレームレート
フレームレートは、1秒間に使用される画像枚数を示します。フレームレートを上げると滑らかな映像になりますが、容量が増加します。通常は撮影・編集時に設定されたフレームレートを変更せず、再生媒体に適した設定で制作するのがおすすめです。
解像度
解像度は、映像を構成するピクセル数で決まり、高解像度ほど画質がよくなります。エンコード時に解像度を元の設定より上げることはできませんが、配信プラットフォームは視聴環境に合わせた解像度で提供する仕組みを備えています。
ビットレート
ビットレートは、1秒間に送受信できるデータ量を指します。高いビットレートは高品質な映像や音声を実現しますが、容量は大きくなります。映像の種類によって適切なビットレートを選択することが重要です。
動画の長さ
動画の長さはフレーム数に比例して容量やエンコード時間に影響します。制作段階で再生媒体や内容を明確に決めておくことで、エンコードの手戻りを防ぐことができます。
エンコード作業をする前のチェック事項
最後に、エンコード作業に入る前に確認しておきたい重要な注意点をまとめます。
ファイル形式の確認
ひとつ目は、プラットフォーム対応のファイル形式の確認です。動画のファイル形式にはさまざまな種類があり、配信プラットフォームによって適切な形式が異なります。たとえば、YouTubeや多くのSNSではMP4形式が広く使用されていますが、場合によってはMOVやGIFにも対応しています。利用目的やシーンに最適な形式を選ぶため、事前の確認が必要です。
元データの保管
2つ目は、元データの保管です。エンコード作業は非可逆圧縮をともなうため、一度エンコードした動画を元の状態に戻すことはできません。とくに初心者の場合、適切なビットレートや解像度が分からず、予期せぬ画質低下が起きる可能性があります。そのため、元データを必ずバックアップとして保管しておくことが重要です。
エンコード作業の時間的余裕
3つ目はエンコード作業に時間的余裕をもつことです。エンコードにかかる時間は、フレーム数、フレームレート、解像度、ビットレート、コーデック、フィルタの有無、エンコーダの性能などによって変動します。とくに、ソフトウェアエンコードは毎回同じ時間で終了するとは限りません。そのため、配信予定や提出期限がある場合は、余裕をもったスケジュールを組む必要があります。
まとめ
エンコードは、動画投稿や配信に欠かせない重要な工程です。動画データを圧縮し、再生や配信に適した形式へ変換する作業で、大容量の動画を効率よく扱えるようになります。エンコードにはソフトウェアとハードウェアの2種類があり、用途やコストに応じた選択が可能です。また、フレームレートや解像度、ビットレートを調整することで、容量と品質のバランスを最適化できます。ただし、非可逆圧縮が主流のため、元データの保管やエンコード時間の確保が重要です。エンコードの基本を押さえることで、質の高い動画制作と配信が実現できます。
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